更新日:2026年7月28日
ベトナム現地法人の資本金は、単に低く設定すればよいものではありません。事業開始までの費用、採用、設備、オフィス、売上入金までの運転資金を賄えるか、事業ライセンスの条件に合うかを説明できる金額にする必要があります。
資本金と投資資本の違い
定款資本(charter capital)は、会社の所有者・社員・株主が会社へ出資することを約束し、定款や企業登録に記載する資本です。
投資資本(investment capital)は、投資プロジェクトを実施するための総資金を指し、出資者の資本だけでなく、案件によっては借入などを含む計画になります。二つを混同すると、企業登録、投資登録、銀行送金、会計記録の金額が一致しなくなることがあります。
一律の最低資本金はあるか
一般的なコンサルティング、IT、通常のサービス事業などについて、すべてに共通する最低資本金を一つの金額で示すことはできません。一方、金融、保険、不動産、旅行、人材関連など、法令上の資本条件や保証金、設備・資格要件が定められる分野があります。
また、法定最低額がなくても、投資計画に対して資本金が極端に少なければ、事業継続性や財務能力の説明が難しくなります。
資本金を決める7つの項目
- 会社設立と許認可にかかる初期費用
- オフィス保証金、賃料、内装、設備
- 採用費、給与、社会保険、福利厚生
- 商品仕入れ、在庫、物流、輸入関連費用
- 売上開始までの準備期間
- 請求から入金までのサイト
- 追加投資、借入、親会社支援の計画
月次資金繰り表を作り、資金残高が最も低くなる時点まで耐えられる金額を基準に検討します。登録のためだけの金額ではなく、実際に送金し、会社が使用できる資金として設計してください。
資本金の払込期限
企業法59/2020/QH14では、有限責任会社の出資や株式会社の引受株式について、企業登録証の発行日から原則90日以内に払い込む規定があります。現物出資では、輸送、輸入、所有権移転の行政手続きに要する一定期間が算入されない場合があります。
外国投資家は、適切な資本口座、登録された出資者、通貨、送金目的で払い込み、銀行証憑を保存します。期限内に満額を払い込めない場合は、持分・資本金の変更手続きや法的影響を確認する必要があります。
必要ライセンスを確認する順序
- 禁止事業か:投資・営業が禁止される分野に該当しないか確認します。
- 外資の市場参入条件:外資比率、投資形態、パートナー、能力要件を確認します。
- 条件付き事業か:営業開始前に満たす資本、人員、施設、資格、設備などを確認します。
- 書面の許可が必要か:ライセンス、証明書、承認、登録などの形式を確認します。
- 継続条件があるか:定期報告、更新、責任者、保証金、検査などを確認します。
2026年7月1日から2027年2月28日まで、政府決議66.17/2026/NQ-CPにより条件付き事業分野のリストは198分野から142分野へ一時的に整理されています。リスト変更後も、外資市場参入条件、技術基準、施設要件、業種別の許認可が別途残る場合があります。名称だけで判断せず、実際の契約、収益、商流を活動単位で確認します。
条件付き事業で見られる主な要件
| 要件 | 確認例 |
|---|---|
| 資本・保証金 | 最低資本、預託、財務能力 |
| 外資比率 | 100%外資の可否、上限、現地パートナー |
| 人員 | 責任者の資格、経験年数、専門職証明 |
| 施設 | 面積、用途、消防、衛生、設備 |
| 商品・サービス | 取扱品目、販売方法、輸出入、流通権 |
| 報告・更新 | 定期報告、有効期限、変更届、更新審査 |
企業登録に事業コードを記載できることと、その事業を直ちに営業できることは同じではありません。条件を満たす前に契約、広告、請求、店舗営業などを始めないよう、営業開始判定を行います。
資本金とライセンスのよくある失敗
- 低い資本金で登録し、開業前に運転資金が不足する
- 親会社からの送金を出資か借入か整理していない
- 出資期限、資本口座、送金目的の確認が遅れる
- 会社登録だけで条件付き事業を開始できると誤解する
- 物件契約後に、施設・用途要件を満たさないことが分かる
- ライセンス取得後の責任者変更や定期報告を管理していない
よくある質問
資本金は後から増やせますか
増資は可能ですが、企業登録や投資関連登録、持分、銀行、会計への反映が必要です。最初から不足が予想される場合は、設立時の資金計画を見直す方が効率的です。
資本金は会社設立後すぐ使えますか
適法に払い込まれ、会社の事業目的に沿う支出であれば運転資金として使用します。出資者個人の資金と会社資金を混在させず、契約・請求書・支払証憑を整えます。
ライセンスが必要かどうかはどの時点で調べますか
会社名や物件を決める前です。事業範囲、外資条件、施設要件が法人形態、資本金、所在地、スケジュールへ影響するためです。